ヤマトビジュアル研究の目指すモノ
そもそも自分がこの研究を始めたのは1/350ヤマトの模型を自作したことがきっかけ。
以前からヤマトの絵を描きながら、妙なからくり満載の超合金とかじゃなくて、ヤマトの模型をストレートに設定画そのままで欲しかったワケ。
デザイン画の設計精度にもよるんだろうけど、18代YAMATOが作画参考用にストレート立体化されたりもしていたので、
地道にがんばればなんとかなるんじゃないかと、およそ2年半近い期間をかけて設計・製作に没頭した。
1/350フルスクラッチ宇宙戦艦ヤマト
この模型のあらましはフォトギャラリーにて。
当時頭の中にあったのは[ヤマト全記録集]に掲載されたある記事。
”ヤマトの精密設計図作成に当たって判明したデザイン上の矛盾点”についての内容である。
実際に造形してみると、このことはあくまでも平面上の解釈から来るもので、立体化できないことを示すモノではないとわかった。
ところが実際のメジャーな造形は、決定版とされるアイテム・作例でも
設定画に忠実であることをアピールしながら、デザイン上の不備を後ろ盾に距離を置く姿勢を崩さないという、
非常にややこしい環境作りを始めたのである。
コレは一体何なのか?
どの程度認識として浸透しているかは定かでないが、
ファンがヤマトに抱いている立体的ビジョンは、おそらくこの設計図での検証を発端に、
設定デザインとは切り離された場所へ視線をズラされたんだと思う。
そこに向けられる数々のマイヤマト像は、本来のデザインに還る道を見失って純粋にイメージのみで"真の正解"を構築し始めたのかもしれない。
自分がヤマトファンとして手元に置いて眺めたいと思う設定デザインそのままのヤマトと、
製作サイドが正解という名目で提供してくれるアイテムのヤマト、
そして世間で一般通念とされているヤマトの正解認識はどれも違うモノを示している。
宇宙戦艦ヤマトというイメージを充足する真の正解を具体化したモノは、客観的に誰も否定できない究極のヤマト3Dビジョンであり、
この研究ページは、個人的にもその実現を目指して活動していきたいとの想いから始動している。
ここから書き込む内容の主旨は、ヤマト既製立体面の具体的形状を見ながら、
時々刻々と変化するヤマト造形の実態を追求しようというモノ。
既製品の形状に理解を求めるのが目的ではないので悪しからず。
モえメカ魂
ヤマト既製品の完成度は回を重ねるごとに確実に向上してきている。
反面、その造形が持つビジョンの不満点に対する指摘も、同程度に厳格・細分化してきているように思う。
製作サイドがいくら完成形クオリティを底上げしても、充足されなかったりオミットされたりしたポイントは細かく指摘されることになる。
過去の品型で適性な再現がなされていながら新解釈によってその要素が枠組みから外されてしまったケースなどは、
(艦首ブルワークのくびれ・喫水線のレベル等)
モデラーサイドから確実に改造工作の標的にされてしまう。
DVD特典プラモデル
前方・後方からのパースに完全対応したヤマト立体史上最強のフォルムを持つ。
しかし、スケールモデル視点にはらんだ問題を逆手に取った真逆な方向性での改造作例がいきなり登場するなど、
モデラーサイドの見解とイメージには大きな開きがあった。
既製品の造形にはその製作時期に浮上している見解や立体作例が優先的に反映される"トレンドの吸収"が行われている。
提供された形は何の根拠も無く組み込まれているワケではなく、そのビジョンを共有しているファンサイドの絶対数を、
例え形式的にでもリサーチした上での方向性なので、それは製作サイドにとって正しい目線で決定したモノなのだ。
新作のたびにデザインの更新を行うガンプラとは違い、ヤマトのメカデザインに更新の概念は特に無い。
更新内容は製品に備わった最新のデザインラインを持って替えるという見方もできるけど、絵的に更新された上で造形されたことは一度も無い。
イメージとのギャップが埋まらないのは、ビジョンの不足分をカバーするにしても新解釈を投入するにしても、
立体面からのアプローチのみで加算・減算を処方することから来るオーバーフローが主因で、
製作サイドのポリシーを反映させることは、ヤマト正解再現には逆効果になっているのかもしれない。
最大公約数を踏襲しているかどうかについては、ヤマト造形カテゴリにおいての基準が時代を経ても堅実に守られており、
常に基盤骨格が同一アクセントで完成される既製品の流れを見ても、反映されていることはほぼ確実。
正解認識を意図的に外すようなデッサンはヤマトの名を冠するメジャーな造形にはまったく見られない。
現在に至っても守られている外形上の基準点一例
ヤマトの天面は狭い前甲板から後方に向かって拡張する形状。
一方、立体面では前方が広く後方は狭くなる逆の形式が採用されている。
これはヤマトの立体モノすべてに備わっている特徴で、
旧モデルと最新モデルを比較してみても、ほとんど変化は見られない。
こうなるとヤマト再現に支障となる大きな問題があるとすれば、
ヤマトのメカデザインと立体設計の両方に精通した完成形デッサンを提供するデザイナーがいないことかも。
メカデザインを具体化するのに造形面からのアプローチだけでは”魂のない仏様”状態に陥ってしまうだろうし、
設計ソースがデザイン画のみという環境になると”製作上の必然”という解釈が加わり、完成形が定まらなくなる。
自分はもともと立体造形の才能など持ち合わせていないけど、だからといって何もしなければ当然何も得られはしない。
イラストの参考程度でもかまわないから、手にとって確かめられる立体モノが欲しくて、半ば寄り道気味に造形に手を出している。
樹脂模型と製作用に描いた見取図の比較
これは模型製作後にペントレスしたモノだけど、元はシャーペンデッサンの線画。
ここまで造り込むために...というよりは、どこまで再現できればこの造形に命が宿るのか?
その感覚を自分なりに消化するためのプロセスなのかも。
今回HP掲載用に製作した樹脂コピーヤマトにしても、技術面を補足する意味でも図案を重ね、
ビジョンをできるだけクリアにした上で設計に取り組んだモノであり、
削り出したアウトラインが死ぬことのないよう、魂だけは熱く込めたつもりである。
自己満足かもしれないが、少なくとも自分の描いた絵にはよく似た立体になったと思う。
真の正解を出すために必要な第一の条件は、何を置いてもまず"血のめぐりを良くする"ことだと考える。
これの意味するところは、感性を大切にし、道具に依存しないこと。
難しいよ。言ってる自分も未だに実行できている気がしないからね...
取り組み姿勢への提案はこれくらいにして、次は物理的な提案に入ろうかな。
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