[船舶設計 宇宙戦艦ヤマト]立体化完了
研究本題の二つ目の根拠として提示したいのが、宇宙戦艦ヤマトの船舶設計図からストレート立体化したこのモデル。
設計図を元にした既製品は巨大展示物や希少キットばかりで比較対象として使おうにも入手するのは大変困難であり、
しかも再現度の低さによってかなりのテコ入れを要求されることは目に見えている。
結局は自作でも提示手段を求める難易度はさほど変わらない事情がある。
というワケでこんな中途半端な完成品でお目汚し大変失礼。だけど・・・
これでも今までのモデリングレベルからすれば格段に出来は良くなっており(当方比)、完全体とみなして研究を進めることにするのでご理解を。
この模型のあらましはフォトギャラリーに、詳細はトップページ[RESULT]に掲載。
設定デザインと設計図の比較
設定デザインから設計図にどのように変換されているかについては先に記述した通りではあるけども、
全体形状としてはどのように変わっているかを主眼に、モデルを見比べてみたい。
見た目にわかりやすいのは設計図で艦体幅が拡張されていることと、甲板全域が広くレイアウトされたこと。
板状甲板は艦首突端まで敷かれていて、艦首デッキと一本化されている。
それにともない、球状艦首はトップビューからは隠れる形に。
側面形は設定デザインとほぼ同じ。
図面ではその差は見えてこないけど、立体造形では側面の抑揚が少ないことが陰影から判断できるだろうか?
バルジ類の接地面形状は楕円形で揃えられ、魚雷発射管は前側がやや高い位置にある。
ちなみに艦首先端のポールはフェアリングの中に立っている。
ロケットアンカーの位置関係から艦首形状は平面形のイメージとは逆のボリュームで構成されていることがわかる。
フェアリーダーの幅が増した代わりに、波動砲から球状艦首にかけてのデザインラインは相殺された格好。
艦幅の違いも不思議とこのアングルからではあまり感じられない。
同スケールであればほぼ同じ口径の波動砲孔も相対的に小さく見える。
設定デザインタイプはエッジより側面の曲線が強く、横幅の広さが勝る印象。
逆に船舶タイプは曲線よりもエッジが強く出ていて、横幅よりも縦幅に厚みを感じる造形。
厚みのあるバルジ・水平安定板とは相対的にノズル口径は小さく、ここも設定タイプとは印象が逆転している。
ローアングルからは艦首のシルエットと艦底曲面の抑揚に目が行く。
規格品化された船舶タイプは良く言えば洗練されているし、悪く言えばキャラクター性が希薄。
イメージの展開を見る場合、デザインラインとしては間口を閉ざした硬さがあるのだ。
絵的にも立体的にも多種多様な開放的解釈を生む設定デザインタイプとの決定的な違いは、”スキの無さ”なのかも。
甲板展望アングルからは、フォルムを構成する流れを視点に見る。
船舶タイプは空間を無駄なく使う整然とした形が並べられ、本質的には無骨な戦艦の印象ではない。
艦内空間の振り分けと居住性への的確な配慮、それによって不要となった構造の撤去が進んだ論理的な外形をしている。
一方設定デザインタイプは、どこに人が立っても視野を狭めることのない構造に応じた外形のトリミングが徹底されており、
デザインのボリュームに反比例して非常にスマートなシルエットなのである。
”見るデザイン”と”使うデザイン”の到達した両極の完成形にも見えてくる。
そして現状に思う宇宙戦艦ヤマトデザインラインの深層。
ヤマトたりうる荒唐無稽のそれはリアリティでも生産性でも合理性でもないことをヤマトファンなら感じているところだと思う。
個人的には、どこまで解釈が広がろうともデザインラインの本質は結局設定デザインに求められる空気感はなくならないように思う。
と同時に、形そのものが信頼性のある原本をもとに作成される現実的流れもなくなりはしないはずなのだ。
もしこの両モデルが現物としてファンの手元にあったら・・・
立体造形とデザインの実際のつながりとは?
船舶フォーマット、しかも同心円メインノズル採用でありながら、
DVD特典モデルとか2199版のような排水量バランスの偏りがまったくない宇宙ロケットな艦容は、
ファンサイドがヤマトのフォルムに対して本質的に求めるモノでまず間違いない。
各図面をトレスし、見取り図作成から型取り、立体化まで実践した者の意見としては、
設計図の整合性は完璧であり、素人の批判は通用せず、商品化向け造形作品の基準として何の不足もない。
ここに先に見解出しした重要条件を加算する。
@艦首・艦尾のフォルムが映像上のイメージである。 |
コレが果たして自分から提示するべき宇宙戦艦ヤマト真の正解形状なのかどうか?
(真の正解とは宇宙戦艦ヤマトの本質を示すモノなのかどうかという別の問題もあるけどね。)
ここから宇宙戦艦ヤマトデザインラインからの詳細なルーツ確認と、本当の意味での既製品との比較をしてみよう。
船舶設計のヤマトは既製品の形状が正解であることを示す証明材料であり、
設定デザインと既製ヤマトが立体的にどうつながっているのかを説明する唯一の手段でもあるので、手堅く手順を踏んでいく。
さあ、ここからが長い道のりだよ。
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