アナログからデジタルへ
ヤマト2199&ヤマト 平面形比較
ヤマト2199&ヤマト 側面形比較
宇宙戦艦ヤマトとヤマト2199の印象のギャップについて、
この研究室で提起してきた内容をベースに、ここで少しコメントしようと思う。
ヤマト2199&ヤマト 前方立体パース比較
記号として見れば両者は宇宙戦艦ヤマト以外の何者でもない。
そこで、もっと判断の分かれる目線で見ていくんだけど、どう違うというより、どう同じなのかをまず考えると、
宇宙戦艦ヤマトは"試作機"、ヤマト2199は"量産機"みたいな見方になる。
ヤマトは代替のきかない一隻限りの存在。
2199は客観的様々な視点で合理化されたスピンオフ的な存在と位置づける。
ヤマト2199&ヤマト 後方立体パース比較
ヤマトはデジタル化が不可能なデザインだ。
形状に全体を包括するひとつの指向性があって、
パーツを個別に合理化して整合を取らなければならないデジタルデザインのカテゴリーには、
根本的になじまないのが致命的である。
その原因は、ビジュアルイメージの点でヤマト自身のデザインフォーマット以外に依存する傾向が重過ぎることだ。
ヤマト2199&ヤマト 前方上空からの外観比較
デジタルデザインである2199にはこういった問題が無く、程度の差はあっても立体化を求める多くのファンが認める書式。
サイズ・設計精度・強度・安全性といった取り扱いに関わる部分をクリアするにあたっては非常に有効で、
コレらを充足することに異論のある人などいるはずがない。
デザイン面の隔離という副作用はどうしても発生するけど、
商品化を前提とするモノならばアイテムの平均値向上は優先事項である。
ヤマト2199&ヤマト 後方上空からの外観比較
で、その二の次とされるデザインへのこだわりが評価に直結してくると、話が相当ややこしくなる。
既製のヤマト形状にデザインの本質が反映されていない以上、そこから来るデザインの評価は荒唐無稽で、
製作サイドのこだわりもヤマトの本質からではなく、その上評価にも依存しないところから発信されるという、
ポリシーの掛け違いが連鎖する状況がすでに30年以上も続いていることになる。
デジタルデザインは、ハード面の進展とともにソフト面の本質も移し変えていく性格があり、
ヤマトの正解形状も例外なく、その流れを汲む展開に乗っている。
ヤマト2199&ヤマト 前方低空からの外観比較
その内訳を細かく突き合わせてみると、つまりはこういうこと。
製作サイドが正解を出すタイミングと、ファンサイドが正解だと認識するタイミングは一致せず、
常に変化し続ける正解認識を後追いする形で正解形状が発信される、という価値判断の時間差があり、
いくら高度な正解形状を提供されようとも、正解認識に照らして劣化しているのである。
ヤマト2199&ヤマト 後方低空からの外観比較
個人的には、正解認識の側に対して固定した基準点を持ち込まない限り、このギャップは肥大し続けると考える。
ヤマト2199はヤマトの正解を丁寧に踏襲した造形である。
しかし、どれほど時間を経てもイメージの劣化しないヤマトと違い、
2199は、"次"が提供されれば確実にただの既製素材と化してしまう。
正解形状という条件をパーツ個別にそろえてつなぎ目を消すことでビジュアルをつじつま合わせるのではなく、
一元化されたデザインフォーマットを獲得しないかぎり、正解と正解認識が一致を見ることはないだろうとは思う。
注意:このコメントは現段階では矛盾することになります。
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