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DVD-BOX特典1/700インジェクションキット 宇宙戦艦ヤマト 比較考察

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アイテムの性格

個人発注のガレージキットを直接プラモデル化した珍しいルーツの製品。
しかも出資元の関係から、ヤマトTVシリーズ一作目デジタルリマスターDVD-BOXの
初回限定特典というターゲットのズレたリリース形態により、
話題を振り撒いておきながら現物が出回らないネジれ現象を引き起こしたりも。
長い期間を空けてのプラモデル新製品だけに、
パーツ精度も完成形クオリティも飛躍的に向上しており、旧キットとは完全に別モノである。
.ANIME予約限定のみに付属した[空間磁力メッキ]タイプもある。

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側面形&平面形

大きく外側にカーブしたテーパーラインにより、艦幅のメリハリがはっきりした平面形をしている。
側面形は上下に拡張された全体に厚みのある前後スパン圧縮型で、
これは平面形換算のメインノズル合わせで成型されることによる、ある意味正確な副作用の効果が出ているように思える。
旧デザインのライン取りに沿って半階層下げられた喫水線は、排水量バランスを犠牲に割り切ったイメージ踏襲を打ち出したモノ。
艦底部モジュールはメーカー規格を優先した造形に切り替えられたため、原型デッサンとはイントネーションが違う。

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艦首からの外観

拡張された艦体とは逆に甲板上の構造物は一律でシェイプされていて、とにかくスリム。
艦体の抑揚に合わせるように前甲板もシャープな形になったが、
ブルワークの面構成をフラットで通すために波動砲開口部形状に直接影響しないよう、閉塞ラインを中断してあるようだ。
また、イメージ優先で甲板よりもフェアリング境界線の高さが低く取られたことは、
艦首上段の上下スパン圧縮効果も生んでしまっている。
選択式だけど、舳先のポールが再現された。

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艦尾からの外観

後方からの景観も旧作出典のビジュアルを元に多角的にイメージを再現されていて、非常に密度の高い造形だ。
後甲板が高く、サブノズルが直線的に伸びていて、やはり上下方向への拡張が目立つ。
艦体断面が円形になったことで、中央部のボリュームが肥大して喫水線以下の視覚的狭窄も見られる。
ここに至っても狭い後甲板だが、そこを補うように上部発進口の両側面が大和風に拡張されているのが特徴的だ。
傾斜尾翼の自己主張がそれとなく強め。

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上方からの甲板全景

このキットはイメージモデル的アプローチでありながら、スケール感にも配慮した造形で、
イメージを踏襲した部分以外の崩れたフォルムを的確にフォローしてあるところがすばらしい。
その分司令塔基部の混雑振りはかなりのモノ。
コスモレーダーとマストはやけに目立つ。

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あおり視点からの艦底外観

上部艦橋とは異なり、第三艦橋は大きめ。
この角度からだと艦体のくびれ具合がはっきり出てくる。
ノズル下垂部のリーチが長く、下部格納庫ハッチにまで達しているのは、拡張された艦底曲面が消化される前にサブノズルが張り出す形状になるため。
メインノズルから来る艦体への形状しわ寄せは、上甲板のみならずこういう形でも来るのである。

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ヤマトのイメージ位置付け

スーパーメカニクスを洗練した造形は、重心バランス・スケール感・デザイン色、あらゆる必要条件を引き換えにしてしまった。
それでも、ひたむきに追求されたヤマト像は、多くの一般支持を獲得するに至っている。
相対的に立体製作サイドの見解は冷静で、排除条件を組み直そうとする向きが強い。
作る側と受ける側でイメージの消化方法が極端に分かれ、
設定画を根拠にした二次元的な検証や、旧キットとの対比にスケール感を持ち込まない評価姿勢がなんだか気持ち悪いくらい。

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正解を踏襲している要素

イメージモデルが正解の位置付けにふさわしいかどうかはわからないが、
イメージが高度に再現された造形は、イメージにそぐわないマイナス面をカバーできることを示したキットであることは確か。
中でも艦首フォルムのデッサンは一定して高評価を得ていて、この形状のみで正解を再現したとみなされるほどの空気感すらある。
この艦首形状こそが全般的正解認識に最も近似していると見て間違いない。
艦体の三次曲線・丸い断面形も多くの支持を集めており、単純に新解釈への理解を示しているだけではなさそうである。

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