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1/1000スケールモデル 宇宙戦艦ヤマト 比較考察

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アイテムの性格

コズミックモデルの造形上の不満点を一定程度解消していて、ある意味バンダイ版ヤマトの理想形と言えるプラモデル。
設計図の示す立体整合策を的確に反映し、形状の独自アレンジは維持したまま決定稿ディテールを組み入れるなど、
おそらく当時メーカーの打ち出していた正解基準すべてを満たした製品。
組み立て説明には、第一艦橋前面パーツやカタパルトを天地逆に取り付ける旨の指示が書かれている。

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側面形&平面形

艦体側面カーブを緩め、メインノズルと艦体接合部のくびれを目立たなくすることで、ほぼ設定通り後端まで一本化したアウトラインを再現。
これにより艦体幅員が艦首側へ偏る形になり、艦尾シルエットはよりシャープな造形となっている。
全高が三面図換算でカットされている分、旧キットでは寸法上三面図に最も近く、スケールモデルとして説得力がある。

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艦首からの外観

艦首はコズミックモデル相当のボリュームを備え、前方からのパースに耐えうるフォルムとなっている。
喫水線が艦首ミサイル発射管センターを通るスタイルに戻されたため、一見排水量のバランスが取れているように感じるが、
コレはあくまでも平面的なことで、視覚的には重心が前方寄りの安定感のない艦容をしている。

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艦尾からの外観

旧キットの後方ディテールは立体感がなくて寂しい。
司令塔・煙突が構造物として成立するギリギリまで厚みを減らされているのと、
カタパルトの間隔がより近くなったのとで、とにかく狭い。
バンダイ製の旧モデルでは結局上部艦載機発進口は造形されなかった。
映像上のイメージ通りといえばイメージ通りではある。

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上方からの甲板全景

抑揚に乏しい感じはするものの、側面はスロープを描く曲面。 主砲は仰角可動し、副砲を含めて砲塔すべてが回転可能なクリアランス設計で、
それまで初期形状でのみの再現だった主砲塔をクリンナップデザインタイプで立体化している。
両サイドの対空砲が後方三連装機銃を除いて設計図のレイアウト再現を試みているのは、目立たないけど特徴的だ。
細かいことだけど、コスモレーダーの測距儀を円柱で成型してあるのは面白いね。

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あおり視点からの艦底外観

波動砲砲身接着面の厚みがスゴく気になる。
球状艦首は旧モデルでは最もヤマトに近似したボリューム。それでも前甲板の広さが勝るか。
側方展望室やバルジの張り出しが平べったい感じで、主砲測拒儀や艦橋部方形モジュール等は申し訳程度の立体感。
サブノズル開口部は垂直断ち切りに、メインノズルの傾斜尾翼は大サイズに戻されている。
1/700キット同様、第三艦橋支柱は設計図寄りの形状。

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ヤマトのイメージ位置付け

革新要素と後退要素それぞれが主要ポイントとして際立っていて、総合的に見るとそれほど高い評価は受けていない様子。
1/1000の小スケールだったこともあるんだろうけど、
艦体設計のあやふやな所とか、パーツ認識の読み違えなどが散見されるのは、あまり良い印象を持たれなかったかも。

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正解を踏襲している要素

興味深いのは艦尾の解釈である。
側面図合わせの補正形状について、ある意味この1/1000キットはひとつの完成形に到達しているように思える。
このように再現するのは不正解だという意味での正解に。
このことは同時に精密設計図が提示した矛盾再考結果を否定することでもあり、
「ヤマトのメインノズルは大口径であることが望ましい」という気運につながるのは必然だったのかな。

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