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1/500コズミックモデル 宇宙戦艦ヤマト 比較考察

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アイテムの性格

新規造形したパーツとイメージモデルのパーツを混成した大型のプラモデル。
スケールモデルの雰囲気を持たせながら、ヤマトの映像上のイメージをおおまかに反映した造りになっているが、
イメージモデルの流用パーツ部分がどうしても浮いて見える。
それでも独自の造形指向はしっかり守っている所はさすが。
トータルで見れば1/700キットの発展改良型のようなニュアンスで、砲塔の旋回や主翼の開閉などギミック設計が進み、
サイズから来るインパクトの大きさからか、コレを起点に派生した商品も多い。
完成見本に問題でもあったのか、パッケージにはなぜか1/700キットストレート組みの写真が使用されていた。

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側面形&平面形

波動砲・球状艦首・メインノズル等、末端のサイズが一律で大型成型されている。
砲塔の間隔はイメージモデルに沿ったスパンで取られていて、旋回時のクリアランス確保に一役買っているけど、
この配置は後の製品にもけっこう反映されている。
主砲・対空砲・第三艦橋等イメージモデルからの流用パーツはスケールにそぐわず、サイズがちぐはぐである。
副砲も一・二番で寸法が違ったままの流用だ。

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艦首からの外観

波動砲・球状艦首ともに大幅にボリュームアップ。
フェアリーダー形状を引き継いでいることと、波動砲が縦長の開口部になっていることで、
中段部分がつぶれて映像のイメージに近い顔立ちを作っている。
艦首からの曲面の流れにスロープが掛けられて、艦体側面はデザイン色が濃い。
相対的に艦橋周りの造形はサイズダウンしたように見える。

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艦尾からの外観

メインノズルも大型化しているんだけど艦体のボリュームに相殺されて、テーパーの絞り込み具合は1/700キットとあまり変わらない。
その分縦方向への反動が見られ、後甲板を底上げしたりサブノズル周辺を矯正する形でアウトラインの補正が表れている。
三枚の尾翼はサイズ・形状を統一したイメージモデルの同心円レイアウトの形状をうまく引き継いだ形。
ここはヤマトの後のビジュアルにも影響を与えている。
甲板上の景観にも艦載機発進口のディテールや三連装機銃の配置など、スケールモデルとして解離した部分を補うように細かく更新されている。

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上方からの甲板全景

ウォーターラインが広がったことで艦体が大きく抑揚したため、全長が若干詰まったように感じられる。
さらに広くなった前甲板には突起状のディテールが配置され、側壁も厚みを増している。
対空砲周辺は流用パーツに合わせてスケール感をさておき、配置バランス調整にこだわっている様子。
司令塔と煙突は細身で張り出しも浅くこのサイズでも立体感はいまひとつ。前面の窓数は設定画合わせ。
なんだかカタパルトが地味に小さい。

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あおり視点からの艦底外観

艦底部の流用パーツ類は大き過ぎて、スケール感を損なう要因そのものである。
バルジ類やサブノズルは萎縮していて、バランス面でもかなり違いが見られる。
上部構造物は沈み気味ながら、マストの張り出しはよく目立つ。
なお、このヤマトの艦体断面は底広の台形に近い。

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ヤマトのイメージ位置付け

新造艦体については設計図のビジョンを堅実に踏襲したフォルムを見られるし、流用パーツも完成度を阻害するモノではない。
しかし、ヤマトのイメージとして見た場合どうなるのだろう?
製作サイドのこだわりという風に理解するのが妥当かもしれない。
出来上がった形がヤマトかどうかを考えると、必ずしも必要な条件ではないかもしれないが、コレ無くしてヤマトは無いのだ。
製品としてはイメージモデルのアレンジと考えれば、完成度の面からも十分なインパクトを発揮したと言える。

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正解を踏襲している要素

新造艦体は正解の条件を一定レベル備えた造形ではないかと思うけど、
1/500スケールをクオリティに生かしきれていないことがマイナス評価であり、トータルでは正解認識には遠いようだ。
この造形そのものよりも、キメラ処理の解釈が後発の造形に対して正解への触媒的役割を持っているように思える。
商品はやはり原型となるデザインの一般的イメージを持つべきだという、メーカーのポリシーが反映されたヤマト。
メーカーにとっての正解は"売れる商品"である...

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