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1/700メカニックモデル 宇宙戦艦ヤマト 比較考察

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アイテムの性格

側面形が設定画と一致していて基本形状が忠実に再現されているとして、現在に至ってもなお高い支持を得ているキット。
サイズも価格も手頃で改造ベースとしての定番アイテムでもあり、多くのマイヤマトをサポート。
このキットはもともと銀河モデルに内部構造を組み込む形で試作され、その後ワンオフカットモデルの外形をトレスして完成されている。
完成形に関しては、少ないパーツ数で複合的にデザインラインを消化していて、
さらにメーカーが独自に編み出した形状でポイントを押さえたオリジナリティも交えた内容。

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側面形&平面形

ヤマトよりも前甲板スペースが大きくレイアウトされ、艦首側面は内側に引き込むカーブが付けられている。
逆に艦尾はテーパーが大きくカーブしてアウトラインは急激に閉塞する。
これはメインノズルが側面合わせの直径で円筒に成型され、艦体パーツ側を矯正したことによるもの。
喫水線は魚雷発射管二門より下を通る。
やや低い位置に見えるのは、甲板全体をワンパーツで成型し、
そこにディテールを集中させたことが構造物の高度底上げにつながっているため。
トータルでは設定画ではなく、設計図をベースにした型取りと言える。

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艦首からの外観

波動砲口は砲身パーツ接着面の都合からか断ち切り形状。
波動砲側面とフェアリーダーは一体成型で、改造の定番となっている溝は艦首全体を砲身に見立てたような解釈から来た性格と思われる。
当時製品となったヤマトのほとんどに継承されていたスタイルだ。
球状艦首のボリュームは相対的に小さく見えるというよりは、実質かなり減らされている。
比較してようやく理解できたんだけど、艦橋構造物や主砲塔が高すぎると改造に当たってよく指摘されるのは確かにその通りで、
視覚的にもこれくらい違うモノになるのだ。
甲板底上げの理由はキットの寸法設定によるもの。
全長を後発の数値設定に合わせたことで、幅・高さが三面図寸法に不足する分を補正してあるのだ。

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艦尾からの外観

メインノズルに合わせて艦尾は絞り込まれた形状。
メインノズルそのものに外形の違いがあるため、ここからの景観はより一層異なる。
ノズル軸線からの割合で考えれば相応に思える傾斜尾翼だが、設定デザインよりかなり小振り。
サブノズルのアウトライン、後甲板の形状、未加工の艦載機発進口など
後方視点の上部景観再現はアバウト。
水平安定板の設置ラインは外側、サブノズル開口部は垂直に断ち切られている。

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上方からの甲板全景

艦首から後方に向かって最上甲板が段階的に狭まっていくスタイルが見られる。
ヤマトは立体化されるとほぼこのようなレイアウトが取られ、デザイン面との明確な住み分けを示す基準になっている。
喫水線カーブの緩急の違いもこの視点だとわかりやすいと思う。
前甲板はフラット面で成型され、主砲両サイドに側壁が立てられている。
中央部の階段状レイアウトに大き目にサイズ調整された対空砲が整然と並び、
司令塔基部は幅詰めされた艦橋と煙突を狭いエリアに配置する形。

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あおり視点からの艦底外観

艦底は平坦でバルジの張り出しが目立つ。
球状艦首から艦体中央にかけてのアウトラインはボリュームの落差が大きく、戦艦大和に近い雰囲気。
喫水線上のくびれは直線的にフラット面へと変化している。
対空砲砲身の自己主張がかなり強い感じ。
メインノズル接続部は内側にくびれていて、艦体との面取りが異質である。
成型の都合からか、サブノズルにはあまり立体感がない。
艦体幅は同スケールで見るとヤマトより若干広く、構造物が幅詰めされていることも加わり、
クォータービューだとメリハリの少ないフォルムとなる。

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ヤマトのイメージ位置付け

メリハリの利いた艦体フォルムに張り出しの浅い構造物が設置される造形にはアンバランスさも見られるが、
確定したイメージのない当時のヤマトに、ここまで明確なアウトラインを商品化したデザインワークはやはり評価されてしかるべき偉業だと思う。
設計図を柱にした基本形状でありながら、デザイン面のエッセンスをイメージモデル的アプローチを交えて取り込み、
正解とは言えないまでも、正解への足掛かりを感じるデッサン。
ヤマトのデザイン原型よりもこちらの方が作画・造形への影響力があること、アニメ作画用設定の参考にもなっていることを含め、
デザイン以外のスタンダードをいろいろ纏わせている点で重要なキーアイテムである。

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正解を踏襲している要素

最大のウェイトを占めるのはやはり側面形。
製品の発展改良が進んだ現在においてもスケールモデルの基本が備わっていることは、
プロ・アマ問わず客観的正解認識を持つ重要ポイントなのだ。
造形面のクオリティが過去形で語られる現在は、ディテール関係の正解認識は薄いようだ。

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